身長差43センチのふたり。
予想もしていない久松の言葉に、箸でつまんでいたたこ焼きが皿の上に落下した。
「~~~っ」
『え、マジかよ。』
ドクンッと心臓が一際大きく拍動するのを感じた。
どうやら、久松の言っていたことは図星だったらしい。
人に言われて気づくって…どんだけ俺は鈍いんだよ。
『お前、小日向のこと好きだったの?』
「っ…もう、何も言うな…」
隣で驚いている久松以上に驚いている俺には、好きという言葉がダイレクトに脳に響いてきて、恥ずかしさにノックアウト寸前。
感情がゴチャゴチャしすぎて、久松の言葉に何も言い返すことができない。
『お前って、小日向と話したことあんの?』
「……いや、ない。…多分。」
思い返せば、小日向と直接話したことは一度もない。……はず。
『千尋。』
「・・・な、何だよ?」
いつも俺のことを"高遠"と呼ぶ久松が、いきなり俺の下の名前の"千尋"で呼ぶと、なんだかいたたまれない恥ずかしさが募っていくのを感じる。
『俺が、お前らの恋のキューピットになってやるよ。』
「・・・はぁ?」
この時、気味の悪いニヤケ顔を浮かべた久松に、俺の心がざわつくのを感じずにはいられなかったのだった。