身長差43センチのふたり。
――『雛乃ー、』
「あ、華ちゃん。」
放課後。
帰り支度をしている私の席に、カバンを肩にぶら下げた華ちゃんがやってきた。
『今日、暇?』
「え?どうしたの?」
華ちゃんの言葉に、筆箱をカバンに入れていた手が止まった。
『これから、駅前に新しくできたクレープ屋にでも行かない?』
華ちゃんからのお誘い。
素直に嬉しい。
クレープも好きだし、新しくできたクレープ屋さんにも興味がある。
けど…、
「ゴメン、華ちゃん。今日は行けないんだー。」
『え、何かあるの?』
今日はムリだと言うと、華ちゃんは目を見開いた。
申し訳ない気持ちで、自然と眉が下がっていく。
「今日はお母さんの誕生日なんだー。ケーキ買いに行かなきゃ。」
『あ、そうなんだ!じゃぁ、お母さんにお誕生日おめでとうございますって伝えといてー!』
「うん、ありがと。」
またねー、と手をヒラヒラさせてこの場から去っていった華ちゃんは、久松くんの席に駆けていった。
あれ、華ちゃんって久松くんと仲良かったんだ…?
社交性のある華ちゃんに男友達がいても不思議なことじゃないよね、と思いつつカバンに教科書を詰め込み終えた私は、早々と教室から立ち去った。