身長差43センチのふたり。
小日向が買ってきてくれたオレンジゼリーを食べながら、俺は小日向に想いを寄せる。
テーブルの上に置かれた授業のノートのコピーを手に取り、一枚一枚目を通す。
小さくて可愛らしい女の子の文字が並んでる。
ここ、テストに出るよ!とか、重要!とか、きっと休みの俺を気にして書いてくれたノートに、俺は口元を緩ませずにはいられない。
好きだなぁ……こういうとこ。
健気と言うか、気が利くというか。
授業の時も俺のことを考えてくれていたことを感じて、ますます小日向に溺れていく俺。
クラスマッチの時も、つい口が滑って"好き"なんて言っちまったし…。
俺の心の許容範囲限界まで込み上げている小日向への気持ちは、少しでも気を緩めたらダラダラと溢れそうで。
小日向に俺の気持ちを伝えたら、この関係を保てないと分かっているからこそ、何も言えない臆病な自分にイラつく。
すごくすごく好きなのに、大事に思ってるのに、彼女に拒否されるのが怖くて。
彼女の笑った顔とか、恥ずかしそうに頬を赤く染めて照れる顔とか、読書してる時の真剣な顔とか、シャトルを追いかける懸命な姿とか、もう見れなくなっちゃうんじゃないかと思ってしまって、踏み出せない俺と彼女の近いようで遠い距離。
いつか、彼女に受け入れてもらう日が来ると、今はただ願うだけで。
一生で一番美味しいオレンジゼリーを口に入れながら、俺は今日一日のことは一生忘れないんだろうなと思った。