身長差43センチのふたり。
ゆるゆるの口元を見られたくなくて、左手で隠していると、私の前で屈んだ高遠くんが私の顔を覗き込む。
『ふっ、可愛い。…照れてんの?』
「っ……!」
顔は赤いだろうし、半分涙目でパチクリと瞬きをする私を可愛いと言う高遠くんは、視力が悪いのだろうか。
っていうか、見られた。…私の赤面顔、ばっちり見られた…!
「たっ、高遠くんの意地悪…っ!」
『ははっ、今気づいたの?』
「っ…!?」
なんか今日の高遠くんは、いつもと違う…!
でも、イタズラな顔でSっ気のある高遠くんも、ちょっとイイかも。
きっとその顔は、私だけに見せてくれてた高遠くんの意外な一面のはずだから。
『ほら、遅刻するよ。』
「っ…!」
ちょっと強引な高遠くんに取られた右手を引っ張られて登校中の生徒の中に紛れながら、この瞬間がいつまでも続けばいいのにと思った。