身長差43センチのふたり。
『行くって…どこに?』
「っ、…そんなん、高遠くんが一番知っとるやんか…!」
分かり切ったことなのに、それをわざわざ私に言わせようとするなんて。
残酷すぎる高遠くんが、涙で歪んで見えた。
「彼女が、待っとるやろ…っ?」
ここから一歩も動こうとしない高遠くんにしびれを切らして、私は零れた涙を制服の袖でぬぐいながら口を開く。
知らない顔で手伝ってもらったら自分に有利なのに、それが出来ないお人好しな私。
彼女が傷つくと分かってて手に入れた幸せなんて、私の欲しい幸せじゃない。
『彼女、って…?』
「っ…!島津さんに、決まっとーやん…っ!」
なんなん、高遠くん…!?何でこんなに鈍いん?
早く行かないと、彼女が傷つく。ここに戻ってきてこの状況を見た彼女が何を思うのかなんて、分かり切ってる.