身長差43センチのふたり。
~♪~~♪♪
準備を始めて数十分後、簡易テーブルの上に置いてあった私の携帯電話が鳴った。
そのメロディは、最近変えたばかりの千尋くんの着信を伝えるもの。
ピッ
「もっ、もしもし!」
『あっ、雛乃?おはよ。』
「おはよ…っ!」
電話の通話ボタンを押すと耳に伝わる千尋くんの声に、また私の心臓はうるさく鳴り響く。
千尋くんのことを考えるだけで、千尋くんの声を聞くだけで、千尋くんの姿を目に映すだけで、こんなにも胸の奥がきゅう…っと苦しくなるなんて。
私は千尋くんが大好きで大好きで、仕方ないみたいだ。
『雛乃のマンションの下に着いたよ。』
「うんっ、わかった…!今行くねっ」
おう、という千尋くんの声を聞いて、終了ボタンを押して、そばにあった鞄を引っ掴む。
部屋の扉近くにある全身用鏡の前に立って、自分の姿をチェック。
千尋くんの隣にいて恥ずかしくない格好をしないと…!
「よしっ」
大丈夫!と意気込んで、部屋を出た。
「いってきます!」
『『いってらっしゃ~い!』』
リビングにいた上機嫌なお母さんとお兄ちゃんに見送られながら、私は千尋くんの待つマンションの下へ駆けていった。