身長差43センチのふたり。
「何もないけど、それが?」
ちょっと言い方が冷たいのは、許してほしい。
だって、華ちゃんってばさっきから話がよく分からないんだもん。
『じゃぁ、映画見に行かない?』
「映画?――もしかして、"愛のキセキ"…?」
『そう!』
「いくっ」
"愛のキセキ"は、少女漫画が原作で、明日から公開予定の恋愛モノ。
私が好きな女優さんがヒロイン役で、見に行きたいと前から華ちゃんに話していた映画だった。
それを見に行こうと言われたら、断る人なんていないと思う。
――けど。
『じゃ、決定ね。あ、そうそう。明日は久松と高遠も一緒だから。』
「……は?」
自分の笑顔が一瞬で消えていくのを、鏡を見なくても感じ取った瞬間。
え、何故そうなる?
「ちょっ…ちょちょちょっと待って、華ちゃん!」
『なぁに?』
ルンルンで作業に戻った華ちゃんの手を止める。
なぁに?じゃないよっ!
そんな可愛い顔して惚けても無駄なんだから!