身長差43センチのふたり。




行きたくない。何としてでも行きたくない。

だって、(華ちゃん曰く)高遠恐怖症の私が、その高遠くんと並んで映画鑑賞?

しかも生粋の恋愛映画を?

―――――ムリムリムリッ!どう考えても無理だよ、それはっ!

想像してみて青ざめる。

高遠くんとまともに話もできないのに、映画鑑賞なんて地獄だ。


「明日は…ちょっと、」

『何?何か用事があるの?』

「う、うううんっ!そう、用事!」


無理矢理白紙だったスケジュールを偽ってみる。

明日は何もないけど、高遠くん込みの映画鑑賞よりも、何の用事もない一日の方がマシだ。

鼻を掻く私に、華ちゃんの冷たい視線が突き刺さる。


『用事ってどんな?』

「えっ!?えーっとぉ…あの、その、」

『はい、却下。』

「ちょっ、華ちゃん!」


最後の悪あがきをする私に、バレバレなウソをつかないの!と華ちゃんのお叱りが飛んだ。

バレバレなウソって……そんなに?

私、小さなウソもつけないの?と自分が悲しくなる。



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