身長差43センチのふたり。
「和樹に伝えてくれる?"私のことは忘れて"って。」
『…雛乃はそれでいいと?』
「…当たり前やん。」
不安の色を残して私の顔を覗き込む朱莉に、精一杯の笑顔を返して見せた。
朱莉には悪いと思ってるんだ。3年前のことを、今も心配してくれるなんて。
人が良すぎる朱莉に心配ばかりかけてる私は、なんて人泣かせな人間なのだろう。
『……ゴメン。雛乃は、もうあの事を気にも留めてないんだね。千尋くんっていう彼氏もいるのに、こんな話して…本当ゴメン。』
「そんな、朱莉が謝ることじゃないって…!」
肩を落として可愛い顔を俯かせる朱莉に、私は慌てて顔を上げさせる。
和樹にちゃんと伝えとく。と言ってくれた朱莉に、ありがとうと言った。
気づけば博多行きの新幹線の発車時刻10分前。
『…実は、私…和樹のことが好きっちゃん。』
「えっ…?」
『和樹は全然気づいとらんっちゃけどね!アイツ…まだ雛乃のこと好きみたいやしさ…。』
悲し気にそう言った朱莉は、ほんの一瞬だけ傷ついたような顔を見せた.