身長差43センチのふたり。



「和樹に伝えてくれる?"私のことは忘れて"って。」

『…雛乃はそれでいいと?』

「…当たり前やん。」


不安の色を残して私の顔を覗き込む朱莉に、精一杯の笑顔を返して見せた。

朱莉には悪いと思ってるんだ。3年前のことを、今も心配してくれるなんて。

人が良すぎる朱莉に心配ばかりかけてる私は、なんて人泣かせな人間なのだろう。


『……ゴメン。雛乃は、もうあの事を気にも留めてないんだね。千尋くんっていう彼氏もいるのに、こんな話して…本当ゴメン。』

「そんな、朱莉が謝ることじゃないって…!」


肩を落として可愛い顔を俯かせる朱莉に、私は慌てて顔を上げさせる。

和樹にちゃんと伝えとく。と言ってくれた朱莉に、ありがとうと言った。

気づけば博多行きの新幹線の発車時刻10分前。


『…実は、私…和樹のことが好きっちゃん。』

「えっ…?」

『和樹は全然気づいとらんっちゃけどね!アイツ…まだ雛乃のこと好きみたいやしさ…。』


悲し気にそう言った朱莉は、ほんの一瞬だけ傷ついたような顔を見せた.



< 214 / 384 >

この作品をシェア

pagetop