身長差43センチのふたり。
『でも安心した!』
「へっ?」
沈黙の中、涙をこらえてえくぼを浮かべて微笑む朱莉に、私は戸惑う。
何でそんなに強いんだろう、朱莉って。
私は千尋くんと女の子が仲良さげに話してるだけで、心が潰れそうになるくらい苦しくなるのに。
自分の好きな人が友達を想っていることを知っていても、これが片思いだとわかっていても、笑顔でいられるその強さは、いったいどこから来るのだろう。
『雛乃には和樹のことを忘れるくらいに夢中になってる彼氏がいるって分かったしねっ!』
「……うん。」
そう。
私の心には、もう千尋くんだけ。
和樹のことで泣いてばかりだった私なんて、もうどこにもいない。
――私はちゃんと、前を向いてる。
「――朱莉。」
『んっ?』
「私、遠くから応援するけんね。」
ありがとう、と言ってくれた朱莉の瞳は、さっきとは打って変わって澄み切っていた。