身長差43センチのふたり。
『…それそろ行かんと…!』
「あっ…、うん。」
改札前の時計を見ると、もう5分前。
本当にそろそろ行かないと、乗り遅れちゃう。
『雛乃!』
「ん?」
ふわり、と身体が朱莉の香りに包まれる。
昔はよく2人で抱き合ってたなー、なんて懐かしい思い出が頭に浮かんでは消えた。
『雛乃に言えてよかった。』
「うん。」
『大好き。一生、雛乃は私の親友やけんねっ』
「うん……私も。」
見なくたって分かってしまう。
朱莉が泣いてることなんて。
朱莉の震える腕と声に、私も涙がこみ上げる。
「今度は、私が朱莉に会いに行くけん。」
『ん…、待ってる。――バイバイ。』
最後に見た朱莉の笑顔は、涙で歪んで見えた。