身長差43センチのふたり。
千尋くんに頼まれたら断れないって、分かってるくせに。
「…私でいいなら――」
ガラッ
『高遠ーっ?』
2人きりの教室に、割り込んできた高い声。
反射的にガラリと開いた教室のドアの方に顔を向けると…、いつかの島津さんが立っていた。
『…?何?島津。』
女の私から見ても見とれちゃうようなしなやかな足を動かして、私達の席ににこやかにやってくる島津さん。
あの時にも感じた心を委縮させるような苦しい何かを感じる。
『今日、図書のたより書くって約束でしょーっ!?何、この私との約束、忘れてたわけ?』
千尋くんの机に手をついて、ずいっと千尋くんと顔を近づける島津さん。
目の前の光景に、私は目を逸らしたくなる気持ちを抑える。
図書のたよりって…あれだ、毎月、図書委員さんたちが校内に配っているチラシ。
島津さんって…図書委員だったんだ…?