身長差43センチのふたり。
――高遠 Side――
放課後。
『明日までに塗り終えろって、委員長も酷なこというよなー。』
机を教室の後方に移動させて、黒板前にできた広いスペースでセット作りをしている俺と久松と鳩村。
劇のどのシーンで使うかもわからない木をかたどった段ボールに、茶色の絵具を塗りたくっていた。
鳩村は空腹からか、委員長に対する愚痴を言い始めている。
『この作業終わったら、劇の練習だろ?誰が主役になるんだろうな。』
「さぁ?城田あたりじゃねーの?」
クラスメイトの城田はバレー部のエースで女子からの人気も高い。
恋愛モノなら、あいつが適役だろう。
…とにかく。
「劇に出るのはゴメンだな。」
『『……同じく。』』
俺の言葉に、久松も鳩村も同意のようだ。
人前で演技なんて、思春期真っ盛りの男子には恥ずかしすぎる。