身長差43センチのふたり。




『鳩村ー。』

『えっ、もうこんな時間!?』


ガラッと音を立てて教室に入ってきた鳩村の部活仲間。

鳩村は時計を見るなり、体を飛び上がらせて持っていた筆を水を入れているバケツに放り投げた。


『俺、もう行くわ!』


鳩村は今から部活に行くらしい。

クソ。部活という名のサボりのクセに。

どうせ補欠なんだから休んだっていいだろうと思うが、口には出さないことにした。

こんなこと言ったら、涙もろい鳩村が泣いて面倒になるだけだ。


『おー。』

「…ランニングでコケればいいのに。」

『何さらっと言ってくれてんの!?高遠っ』


小さな悪態も、地獄耳の鳩村にはバッチリ聞こえていたらしい。

クソ。鳩村のクセに。

クソがいっぱいだ。


『じゃぁーなー!』


ここから解放されて嬉しいとでもいうような笑顔で、鳩村は部活仲間と共に教室から消えた。



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