身長差43センチのふたり。



『っつーか、悪いな。』

「……は?何が?」


鳩村がいなくなって、少し静かになった中で、黙々と茶色の絵具を塗り付けている久松がボソッと謝罪の言葉を口にした。

久松が謝るなんて…明日は雨か?いや、嵐か?

とにかく珍しい出来事に、気持ち悪さを感じる。

…っつーか、俺…久松に謝られるようなことされたっけ?


『いや、昨日、早速小日向とお前のデートを計画してたんだけど、小日向…昨日は母親の誕生日だったらしくて。』

「……へー。」


初耳の話に、俺は何も言えない。

早速って…早すぎだろう。

昨日、初めて自分の気持ちに気づいたばかりなのに。

実際、一日たっても俺の心は落ち着かないままだ。


無意識に向いた教室の後方で衣装づくりを担当している小日向。

――あ。

目線を向けた瞬間に、小日向と目が合うものの。

――あ、逸らされた。

反射的に目を逸らされてしまった。


うーん、意外と傷つくものだなーと思いつつ、小日向に向けた視線を逸らすことはなかった。



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