身長差43センチのふたり。
『何事もきっかけは大事だろう。』
「…まぁ、そうだな。」
柴戸と何か話をしている小日向の観察を終えて、自分の作業に戻ると、目の前にいる久松は真面目にそんなことを言った。
『色々と作戦は練ってるから、待ってろって。』
「……は?」
慰めるように久松にポンポンッと叩かれた俺の肩。
作戦って…待ってろって……
「いや、余計なことすんなよ。」
『まぁまぁ。』
まぁまぁ、じゃねぇっ!
今、楽しそうな久松の笑顔を見て、初めて分かった。
コイツ…俺で楽しんでやがる……っ!
「久松、お前ッ――」
『宏太!』
久松のおもちゃにはなりたくないと、久松に抗議しようとした瞬間、俺より何倍も高くて響き渡る声に遮られた。
『……華。どうした?』
久松に駆け寄ってきたのは、さっきまで小日向と話していたはずの柴戸。
小日向をチラリとみると、こっちにいる柴戸を不安そうに見つめる彼女の姿が。
…一体何しに来たんだ。