身長差43センチのふたり。
「――は…っ」
『こうやれば甘くなるから。』
「~~~っ///」
やっと唇が離されたころには私の息は切れ切れで。
力が全く入らなくなった私の身体は、腰に絡まっている千尋くんの逞しい腕によって支えられている。
今までのどんなキスよりも甘くて、甘すぎて、胸やけしそうだ。
『もう一回していい?』
「……っ」
『ま、嫌って言われてもするけど。』
いつもとは違うオーラをまとった千尋くんの唇は触れるだけで火傷しそうなくらいに熱い。
これ以上は身体も心ももたないと思うのに、千尋くんを拒否できない。
カカオの苦みでさえ、情熱的なキスを甘くさせるスパイスでしかなかった。
「ん…っ、ちひろくん…っ」
『ふ……可愛い、』
「………っ」
いつもよりだいぶ強引で男っぽくて艶やかで甘い千尋くんと過ごすバレンタインは、苦さも激甘に変えてしまうほどの極上に糖度をたっぷり含んだ至福の一時だった。