身長差43センチのふたり。
リスって…それ、ほめ言葉なの!?
『そんな怒んなって、』
「むー…。千尋くんがリスなんて言うからだもんっ」
『可愛いって意味だって。』
拗ねた千尋くんから手を離しても、簡単に大きな手に捕まえられて、指を絡ませられてしまう。
もう…、千尋くんは本当にずるいよ。
これあげるから機嫌直して、と差し出されたパンダのマスコットストラップ。
千尋くんは最近…私の扱いが特に上手になってきた気がする。私が何を言えば喜ぶのかも、照れるのかも、悲しくなるのかも、怒るのかも、全部分かっているように巧みに言葉を操って私を懐柔してるんだから。
『嬉しい?』
「嬉しい…。ありがと。」
『よし。』
素直に感情を言葉にすると、よしよしと頭を撫でられた。
うー…これって完全に私が子供みたいじゃん…。
なんだか物に釣られてしまったような気がするけれど、満足そうな笑顔を向けてくる千尋くんを見てしまってはそれ以上何も思わなかった。
…いっか、これで。
また新たに増えた宝物を大切にカバンにしまうのだった。