身長差43センチのふたり。
私が…高遠くんを……好き?
「ないないないっ!それは絶対に、ない!」
心の中で一旦落ち着いてみて思った。
私が高遠くんを好きなんて、有り得ない。
『え、そうなの?』
私の全力の否定に、華ちゃんはさぞかし驚きになったのか、目を見開いて私を見つめる。
「うん。確かに高遠くんを観察するのは楽しいんだけど…好きとか、そんなんじゃないから。」
私が高遠くんをついつい見てしまうのは、私の周りにはいない高身長の人という理由で珍しいからで。
例えるなら…そう、バードウォッチングみたいなものだ。
名付けて、高遠くんウォッチング、的な。
『ふーん…。なーんだ、つまんないのー。』
私の淡白なリアクションを見て、華ちゃんは唇を尖がらせつつ衣装づくりに戻っていった。
私も衣装づくりに手を動かす。
今度は集中力を切らせないようにと、それ以降は高遠くんを見ることはなかった。