身長差43センチのふたり。
ガラッ
放課後、漫画の発売日だと言って帰りのHRを終えるとすぐに本屋さんへと駆けていった華ちゃんとバイバイした私は、図書室に来ていた。
図書室の入り口にあるカウンターには誰もおらず、私はカウンター横にある返却口に本を投函する。
図書委員さんは…、今日はいないのかな。
日替わり当番でカウンター席に座っているはずの図書委員も、図書の先生もいない静かな図書室で、私はいくつもある本棚のある方へと足を進める。
今日は何を借りよう、と小説がおかれている本棚のコーナーに向かうと、本の背表紙をゆっくりとひとつひとつ見ていく。
本棚の上方の段に目を向けると、そこには私が前々から読みたいと思っていた小説が置かれていた。
前に来た時にはすでに他の人に借りられていて、私が借りることができなかった本。
今借りずにいつ借りるの、と高ぶる気持ちを抑えられずに、本を取ろうと手を伸ばす。
「っ、高い…。」
でも、145センチという低身長が災いして、かかとを上げて背を伸ばしても、上段に置かれた本には届かなかった。
これじゃぁ、この本が私に読まれたくないと言っているような気がして、ちょっと落ち込むけど、読みたいと言う衝動には勝てない。
もう一度、懸命につま先立ちをして、1ミリでもその本に近づこうと手を伸ばしていた時、
『俺が取るよ、何の本?』
「っ、」
斜め後ろから掛かった低くて優しい声。
耳に柔らかく届いたその声の持ち主は、振り向かなくたって分かってしまう。
「たっ、高遠くん…!」
ビックリして振り向いた先には、いつもの優しい笑顔でこちらを見つめる高遠くんがいた。