身長差43センチのふたり。
ど、どうしてここに高遠くんが!?
手を伸ばしたまま固まる私に、高遠くんはこの本?と私が狙っていた小説を指さした。
「う、うん。」
混乱する頭でなんとか返事をした私なんて目に入っていないのか、高遠くんが私のすぐ後ろに回る。
ふわっと後ろから香る高遠くんの匂い。
高遠くんの制服から放たれている、フローラルな柔軟剤の香り。
コトッ――
高遠くんと本棚に挟まれる形になって息ができない私の目には、楽々と私の欲しかった本を取って見せる高遠くんの顔しか見えない。
密着した空間で、本を手に取る高遠くんの動作がスローモーションで流れていく。
『…はい。』
「……っ」
目の前に差し出された本。
高遠くんの大きな手に掴まれている本が、とても小さく見える。
「あ、ありがとう…っ」
待望の小説を受け取ろうして、本を手にした時、私の小さな手の指先が、高遠くんの大きな指先と触れた。
っ………どうしよう、ドキドキが止まらない。