優しさに包まれて
そこにバタバタと足音が聞こえ、

『優希!!』

私の大好きな声が聞こえた。

そして、社内なのに、それを忘れているかのように私を抱きしめる公人。

私を抱きしめたまま、今まで聞いたことのない冷たい声で

『麻里絵さん、お久しぶりですね。』

公人が話しだす。

『公人さん…』

麻里絵さんと呼ばれた女性は、顔を赤らめながら公人を見つめた。

『俺、麻里絵さんと付き合ってもいないし、婚約するなんて話、今まで一度もしたことないですよね。』

怒りのこもった声で話す公人。

『でも私、パパに公人さんとのこと…』


< 119 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop