優しさに包まれて
5人で会議室に入る。

会議室に入って話しても、俺は麻里絵さんと付き合う気も結婚する気もない。

泣きじゃくる麻里絵さんはテーブルを挟んだ俺の向かい側に座らされた。

常務は、申し訳ないと再度、頭を下げる。

『阿部くん。返事は、聞かなくてもわかっているが、もう一度、麻里絵とのこと考えてもらえないか。』

俺は隣に座る優希の手をぎゅっと握り、常務に返事をする。

『申し訳ないんですが、俺には付き合ってる人がいます。今、隣にいる小見山優希さんです。彼女との結婚も視野にいれています。ですから、麻里絵さんとは結婚できません。』

その言葉を聞いて麻里絵さんはテーブルに伏せて泣き続けていた。

常務は

『わかった。つまらないことに巻き込んで本当に申し訳ない』

そう言って麻里絵さんを連れて会議室を出ていった。
< 122 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop