優しさに包まれて
立花くんと話している途中で課長が会議室から戻ってきた。

そしてチラリと私と立花くんを見たが、ぱっと目を逸らし、そのまま経理部長のところへ向かっていった。

部長と、しばらく話してから、自分の席に戻り仕事を始めた。

『ヤベッ!勘違いされたかも。』

立花くんは、そう言って肩をすくめた。

それから10分ほどして、阿部部長が経理部の部長に状況説明に来た。

しばらく阿部部長、経理部長、翔の3人で話をしていたが、突然3人で私の方に顔を向け、何かを話し始めた。

『浅菜!』

翔に呼ばれて3人のところへ向かう。

『浅菜。お前、小見山と仲良かったよな。』

経理部長の問いかけに、はい、と答えると

『悪いけど、今日の会議、欠席でいいから
18時30分になったら、小見山を家まで送ってやってくれないか。聞いてると思うけど、さっきの件でな。小見山は大丈夫だと言ってるんだけどね、常務からの指示があって…。今日は帰らせるようにってさ。』

『わかりました。』

『浅菜、悪いな。俺も会議終わったらすぐに帰るから。まだ優希には伝えてないけど、しばらく俺の家で生活してもらうつもりだから、着替えとか準備して待ってるように言っておいて。』

経理部長に優希とのことを伝えていたようで、まるで仕事の話をしているかのように話す阿部部長。


『わかりました。では…。』

そう言って私は自分の席に戻った。
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