ソプラノ【BL】
入学式
無事、高校受験に受かって春から通うことになった青蘭高校。

今日はついに入学式だ。

まだ、着馴れていない制服に身を包み学校へ来た。

母親の車から降りて体育館を目指す。と、その前にトイレ。

「母さんトイレいってくる」

「うん。迷わない?」

「大丈夫、大丈夫」

心配性な母を後にトイレへ向かった。

何とかトイレへ着いて済ませから戻ろうとして外に出た。

思い出した。俺はこの上ない方向音痴なのだ。

どちらへ向かえばいいのか解らなくなった。

『やべー。どっちにいけばいいんだよ.....とりあえず歩く!』

長い廊下を歩いていると何人かの生徒とすれ違った。たぶん先輩だろう。
けれど、案外不審には思われず、体育館を探すことが出来た。

たくさんの教室の前を通ったけど体育館がどこにあるかは解らなかった。

ある教室の前を通り過ぎようとしたとき綺麗なソプラノが聞こえてきた。

『?....音楽室?』

足を止めてまでして聞いてしまうその歌声からは、見なくとも可愛らしい女の人が想像出来た。

俺はこの声の主見たさに思わず扉を開けてしまった。

だけど、そこには可愛らしい女の人の姿はなく、代わりに髪を金に染め上げて、制服を着崩したいかにも不良って男のひとがいた。

男の人は俺を見てキョトンとしている。それは不良のような容姿からはあまり想像がつかない表情だった。
だけどその人は突然怖い顔になり俺に近づいてきた。

『うわっやば、殴られるっ!?』

ぎゅっと目を閉じて身を縮めた。
だけどいくら経っても殴られる気配が無い為、そっと目を開けてみた。

そこにはやっぱり怖い顔をした男の人が立っていた。

逃げようとも考えた。だけど捕まったら、もうおしまいだろうし今ここでこの人の言うことに従った方がいいだろうと思った。

「あ、あの......」

思いきって声を出すと、突然腕を掴まれて音楽室へと連れ込まれた。

『えぇぇぇぇぇぇぇっ!!!』




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