血みどろミドロ
 一応の手当てが済んだので、俺は再びミドロに視線を向けた。

 無造作に床に転がる奇妙な姿。

 よく見れば、昨日見た時よりも体が膨張している。

 まるで空気か水を限界まで注入されたかのように、その容姿はぱんぱんに膨れ上がっていた。

 空気か水……

 水……

 そこで俺ははっとなった。

 もしかして……俺の血を吸った、のか?

 『・ミドロくんは生肉を好みます。・あまり血抜きされていない生肉がおすすめです。』

 昨日こいつと一緒に丸めて捨てた紙に書いてあった言葉が、鮮明に脳裏をよぎる。

 そして、さっき見た自分のふくらはぎの様子……

 信じがたいけれど、そうとしか考えられなかった。

 途端に背筋が冷たくなる。

 蛭か何かの仲間なのか。

 人の血を吸う生き物なんて、蚊か蛭ぐらいしか俺には思い付かない。

 そして、こいつの容姿からして、仲間であるなら蛭の方が妥当だと思った。
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