飼い猫と、番犬。【完結】
「ひゃっ!」
羽織っていた綿入りを駆使して器用に患部だけを晒すことに成功したそいつを抱き抱える。
すぐ側で合った見開かれた目に微笑みつつ、いつもの如くに布団を広げた。
「そない必死に隠したかて一緒やて。どーせ今から全部脱ぐんやし」
「っ……!」
往生際悪く夜の空気を避けようとしていたその背を布団に下ろし、するりと袴の紐を解く。
緊張を誤魔化そうとしていたのはわかるが、ここはもう覚悟を決めてもらおう。
俺は中々に、堪えた。
「やっ、ちょっ、ちょっと待っ……」
「無理」
「ーーっ、あの女の人はっ」
唇を啄みながら、未だもがく沖田の帯を解いていると、不意にそいつが僅かに声を荒らげた。
女の人という言葉に反応してつい動きを止めた俺に、拗ね顔で唇を尖らせた沖田は軽く俺の胸を押し退ける。
「……その、前、四条で小さな子を連れた方と一緒にいたでしょう。……その、あの方は一体……」
尻切れに言葉を小さくして視線を逸らしたそいつ。
いつの間に見られていたのかと正直驚きもしたが、それよりも今向けられた感情に笑いが止まらない。
「……なに笑ってるんですか」
「や、妬きもち妬いたそーちゃんもそそるなぁ思て」