飼い猫と、番犬。【完結】
重ねた唇から沖田の緊張が伝わる。
きゅっと目を閉じたその初々しさが益々欲を駆り立てた。
この無垢な女を鳴かせてやりたい──そんな思いが俄に頭をもたげてじわりと全身に熱が広がってゆく。
強張り固く閉じた唇を食み、衿口に指を滑らせる。
「っ、待っ……」
「今度はなんや?」
「……や、何でもないんですけど……」
「ならもー黙りぃ」
ここで待てとか鬼やろ。
ぱくりとその唇を塞いで強引に舌を絡め取る。夜は長いようで短い。もう余計なことは考えずに身を任せて溺れてしまえばいいのだ。
深く、何度も合わせた唇。
最早どちらのものかわからない程に混ざりあった唾液がその頬を伝い落ちる頃には、沖田から漏れる声も色を帯びていた。
それでもまだ僅かな抵抗を見せる力ない指に己のそれを絡ませ、ゆっくりとその身体を拓いてゆく。
肌を刺すように寒かった筈の今日。
触れ合う体は酷く温かかった。
「そーいや総ちゃん」
ふと思い出した疑問にしっとりと吸い付く肌から唇を離せば、沖田からは甘やかな吐息が微かに漏れた。
うっすらと開かれた俺を見る目は熱に浮かされ揺れている。
それに満足を覚えた俺は少しだけ長い口付けを落として。
掌を滑らせた。
「名前、なんて言うん?」