飼い猫と、番犬。【完結】
「……は?」
俺の笑みを理解したのかしなかったのか。
一際深く眉間に皺を刻んだそいつはただ一言声を上げた。
その先が紡がれることはなかった。
宣言通り俺が薬を飲ませてやったからだ。
無論、沖田と同じように。
「……ん、んーーーーっ!!!!?」
「あーようやっとのんびり出来るわ」
一人減った養生部屋。
コキコキと首を鳴らして湯飲みに残った水を啜る。
「……流石にあれはどうなんですか……」
そんな俺の隣では沖田がやはり布団から目だけを出して此方を見つめている。
その目は呆れやら怯えやら侮蔑やらが滲み出ていて。
まぁ簡単に言うとあれだ、
若干引かれている。
あのあと。
寝転がる沖田の真上で無理矢理薬を飲ませてやった藤堂くんは、男に接吻されたのが余程嫌だったのかそれを沖田に見られたのがかなりの屈辱だったのか、兎に角これでもかと顔を真っ赤に染めて俺を蹴飛ばし、そのまま凄い勢いで部屋を出ていった。
まぁ今頃己の部屋で頭から布団でも被っているんだろう。
その笑える程に初な反応に俺はそこそこ満足だ。
「薬飲ましたっただけやん。カマ掘った訳やなし、口吸うたくらいなんやねんな」
「あー……貴方のそれは本当に薬を飲ませるあれなんですね……」