飼い猫と、番犬。【完結】
「……子供扱いしないでください」
暫しその柔らかな唇を堪能し、最後にちゅ、と音を鳴らして離れれば、沖田は潤んだ眼で精一杯に睨み付けてくる。
物欲しそうにも見えるその表情に思わず口端が吊り上がった。
「ほな大人な扱いしたらええ?」
「っ、ひゃ」
いつもより微かに熱く感じる体。やはり熱があるのだと思いながらにその首筋に唇を寄せる。
耳の少し下、前からは見えず衿にも隠れないそこにつける印は沖田には気付かれずに周囲への牽制にもなる。
多分藤堂くんの当たりがきつくなったのはその所為だ。
ま、しゃーないで藤堂くん。だってこれ俺のやもん。
白い肌に再びくっきりと浮かび上がった赤い印に満足した俺は、もう一度軽く唇に口付けて身を起こした。
「ほな行くわー」
「ちょっ!?貴方今何しっ、けほっけほっ」
「ほら興奮するからや、大人しぃ寝とき。あ、隠しても今更や思うで?ずーっとついとったし」
「ず……ってまさかっ、こほっ」
赤い頬を引きつらせていく沖田に俺は立ち上がりながらにこりと微笑んだ。
「そのまさかや」
「っ、ばかーーっ!!!」
物凄い速さで枕が飛んできたのはきっとこのテの鉄板に違いない。