飼い猫と、番犬。【完結】
つらつらと物申す俺に圧され反論の言葉も浮かばないのか、藤堂くんはぐっと口をつぐむ。
勿論この期を逃す筈もなく。
更に畳み掛けるべくそいつを見据え、一つ、呪いをかける。
消えない、呪いを。
「生きとうても生きれん奴もおるんやで?お前さんのすぐ側にな」
「……それってどういう……」
久し振りに見た沖田に思うところがあったのだろう。
言いかけて、消え入るように言葉を無くしたそいつは、はっと目を瞠って意識のない沖田に視線を落とした。
「なぁ、今のどういうことだよ!?総司はっ」
「お前さんとはもう会うこともあらへん、これ以上は知らんでええし知ったらあかん。……最後に言えるんは、や」
腕に掴みかかってきた藤堂くんの首に揺れる沖田の御守り袋。
それを視線で指して、固く目を閉じた沖田に目をやった。
「こいつは今日非番やった。せやのにこないして此処におる。何でかはわかるやろ」
こいつはいつまで経っても人のことばかりだ。
弱った体で必死にこんなところまでやって来たのは心から無事を願う人間がそこにいたからで。
……ほんま、癪やわ。
そんな沖田に怒りも呆れも通り越し、笑いすら込み上げる。
随分と甘いものだと鼻で笑いつつ、俺は黙り込む藤堂くんに笑みを向けた。
「それはやる。こいつのことも頼まれたる。せやさかい自分は早ようこっから消えてくれへんか?」