飼い猫と、番犬。【完結】

明日が来れば暫く顔を見ることも出来なくなる。


床につく前の何か言いたげな様子から、何かあるんだろうとは思っていたが、珍しく甘えるそいつに頬が緩む。



「ええよ」



そう言って布団を上げてやると、沖田はひやりとした空気と共にもぞもぞと潜り込んでくる。


体を寄せてぴったりと。


一瞬で冷えた布団に僅かに震えたのも束の間で。すぐに体温が混じり合った。



「どないしたん?」

「……別に」



何も、と言いつつそいつは俺の胸元に顔を埋(ウズ)める。


言葉とは裏腹に、酷く甘えた様子の沖田の長い髪を指で梳いて、その前髪にそっと口付けた。



「こっち見」

「ん……」



待っていたかのように重なる唇。柔らかな温もりを湛えたそれは、するりと簡単に俺を受け入れる。


歯列をなぞり唇を吸って。
舌先を上顎に滑らせると沖田の指にきゅっと力が籠った。


これ程ゆっくりと口付けを交わしたのは久し振りなような気がした。


触れる度、漏れる吐息が甘くなる。


寝ているとはいえ、同じ部屋には市村くんもいる。
必死に声を堪えようとしている沖田につい悪戯心が湧いて、つい指がその寝間着の上を這った。
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