飼い猫と、番犬。【完結】
くるりと覆い被さると、少々強引にその胸元を開いて首筋から鎖骨へと時折音を立てながら唇を這わせて下りてゆく。
相変わらずしっかりと巻かれたさらしが見るなと言わんばかりに頑なにその膨らみを隠していたけれど。
「ええやん、すべすべして好っきゃで?」
高価な絹織物のような滑らかで肌触りの良い感触は、十二分に心地がよかった。
確かに痩せた。
それは本人も十分に自覚しているんだろう。
元々あまり肉付きの良い質(タチ)ではなかった沖田だ、正直今の体は決して柔らかいとは言えない。
けれど身体だけの女など過去に幾らでもいた訳で。
そんなことを気にするのならば俺は、初めから沖田を選んでなどいない。
「っ、やまざ……」
「暫く会えんのやさかいにちょっとくらい触らし」
抵抗のなくなった腕をほどいてその唇に口付ける。
泣きそうな顔で俺の着物を掴み、おどおどと頼りなくもそれに答えようとする沖田だからこそ、俺は触れたくなるのだ。
久し振りで、これからまた暫く触れられないだろうその身体。
そう思えば少しだけ名残惜しくなって、その真っ白な肌に幾つも吸い痕を残していく。
どこかまだ恐る恐るといった様子の沖田だったが、そこに先程のような抵抗はなく、肌を這う唇に微かな反応をみせつつ、俺の頬や髪を撫でていく。
静かな部屋に響く小さな音がじわりと染みて、熱を煽る。
だが、不意に何かを思い出したように沖田が指に力を籠めた。