飼い猫と、番犬。【完結】
袖、振り合うも
鬼の飼い猫となっても、その黒猫は自由を忘れませんでした
警戒心の強かった犬も、猫の自由さに徐々に惹かれていきました
じゃれあいながら、同じ時間を過ごすうちに、いつしか彼らは恋に落ちました
恋は少しだけ、彼らに変化をもたらします
頑なだった心はゆっくりと解けていきました
けれど彼らは気付きません
それは小さな小さな変化だったからです
時は流れ
犬は病に臥せ、猫は鬼と共に戦い、そして倒れました
それでも猫は自由を望みました
犬も、全てを受け入れました
小さな変化は、彼らに足ることを教えたのです
猫も、犬もいなくなったあと
それでも鬼は戦いました
戦って、戦って
彼は正義の名の元に退治されてしまいました
鬼はいなくなり、世界に平和が訪れました
またひとつ、世の時代が移ろったのです
めでたし、めでたし──
さて、正義とはなんでしょう?