飼い猫と、番犬。【完結】

そっと触れた芹沢はんの逞しい背ぇは傷一つおへん。


前しか見せへんかったんやろなぁなんて思うたらほんにこのお人らしいて、沖田はんに声掛ながらもつい、笑てしもた。



「うちが逃げたら今日のこと、市中に知れてまいますえ?」



呼ばれて来ただけの他の女子らとちごうて、うちは何が起きたかを知っとる。


雨音に紛れて仲間を闇討ちした全部を、うちは知ってしもとるんどす。



「せやさかい今此処で、うちも殺し」



なんも、ほんまに言いふらそうやなんて思うとる訳やおへん。


せやけどこの子やったら、こない言うたらわかってくれる──そう、思うたんどす。






「生きる気はないと?」
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