飼い猫と、番犬。【完結】
女の勘は舐めたらあきまへん。
ほんまはうち、沖田はんが女子やて気付いとりましたんえ。
うちが此処に囲われてからも何度も通うてくれはりましたさかい、そら嫌でも気ぃつきます。
そやのにこないなこと頼むうちは酷おすやろか。
せやけど、沖田はんどしたらわかってくれはる思たんどす。これが今のうちに出来る精一杯の愛し方なんやて。
あの子もまた……報われへん想いを抱いてはるようやさかいに。
軽く頷いたうちの後ろで黙ってはった沖田はんが動いたんは少し経ってからのことどした。
畳が軋んで、そのお人が刀を構えはったんが小さな音と空気で伝わってきたんどす。
雨音が、いやに遠くに聞こえたはりました。