飼い猫と、番犬。【完結】
祇園御霊会 ~一夜の君~ 総司目線
それは本来鎮魂の儀式だった
いつの頃からか神仏習合の儀式となり
山鉾主体の祭となった
一ヶ月にも及ぶ長い祭
初夏を迎えた京の町を多くの人が楽しそうに行き交う
祭囃子に真っ赤な提灯
小さな飴細工に金魚が跳ねる
賑やかな声が誘い誘われ また誘う
くるくる回る風車
幼い童が毬のように駆けていく
今日は宵山 夜が明るい
誘い誘われ また誘う
薄紅ひとつの仮面をつけて
私はひとり
囲いを抜けた