飼い猫と、番犬。【完結】
沖田組長。
無事、あの人には会えましたか?
貴女の幸せそうな笑顔が目に浮かぶようです。
俺はといえば……すみません、新選組を最後まで見届けることは出来ませんでした。
遠く蝦夷の地にて市村くんを日野に届けるようにと副長に言われ、そのまま離隊となりました。
……本当、狡いですよねあの方は。
俺達を逃がしてくれたのも組長と親しかったからなのかもしれないと思ってしまうのは気の所為なのでしょうか。
真意はもう……わかりませんけど。
市村くんと別れ京に戻った俺は、偶然以前の恋仲に会って……祝言を挙げました。
彼女ね、子供がいたんです。
俺の子供が。
そんなこんなで突然娘まで出来た俺ですけど、勿論幸せですよ。
ついこの間まで殺伐とした戦場にいたのが嘘のように穏やかで……時々、何故か泣きたくなりますけど。
それでも彼女のことはずっと好きだったし、娘も可愛い。
……なのに貴女もっていうのはちょっと気が多い気がしますけど。
でも組長はまた彼女とは少し違うというか……うん、まぁそんなことはもう良いですよね。
兎に角俺は今、幸せです。
動乱の世は少しずつ落ち着きを見せ始めました。
俺を生かしてくれた副長の為にも、俺は新たな時代を見続けますよ。
家族と一緒に。
まぁ貴女のことは秘密、です。