飼い猫と、番犬。【完結】
「待っ……」
「もー待った」
唇が重なり半ば強引に舌が絡めとられる。その熱い感触が口内をまさぐる間にもするりと帯を解く音がして、滑り込んできた手が肌をなぞった。
途端に全身を熱が駆けて、声が漏れる。
久々に会うということは勿論こういうことも久々で。
長く感じることのなかったその感覚に、早くも身体の奥がじわりと火照り始めた。
「自分かてしたかったクセに」
「っ、や」
愉しそうな声が耳許で聞こえ、生暖かいものがざらりと中に入ってくる。
恥ずかしさより何より、その頭に直接響くような湿った音に堪らず身体が跳ねた。
「嫌なん?止めよか?」
……本当に、良い性格をしてる。
わかってる筈なのに、意地悪く微笑み尚も言わせようとする山崎は中々の性悪だ。
……言えるわけない。
言えるわけないのだけれど、これまでの経験上言うまで許されそうにない。
ならば、と浮かんだのは実力行使の意思表示。
言うよりましだと脈打つ胸に唾を飲み込み蓋をして、その衿を掴んだ。
引き寄せ重なった唇は熱くて。
未だに濡れた感触のこそばゆさに、山崎の長着を掴む手に力が籠る。
自ら求めたそれは息が止まりそうな程の羞恥に襲われたけれど。
「……ヘタクソ」
「っ」
そんなことを言いつつお手本を見せてくれる山崎が満足げなのは多分気の所為じゃ、ない。