飼い猫と、番犬。【完結】



天井近くに開いた窓から白い月明かりが差し込んでいる部屋は、いつもより明るい。


そういえば望月だったと朧気に思いながら、声を噛み殺した。



「強ぅ噛み過ぎや」



再び合わさった唇。
たしなめるように舌先で優しく口内をなぞりながらも、その手は執拗に肌を滑る。


力の入らなくなった口からは自分のものとは思えない甘い声が漏れる。


それがまた一層恥ずかしくて、身体の中がきゅっとなった。



「もっと声聞かせぇ」

「やっ」


なのに山崎は意地悪だ。
必死な私を愉しそうに見つめて、舌を這わせる。


首から胸元へ、時折音をたてながら下りていった先でたてられた歯に、痛みとは違う何かが突き抜けた。




「もっと」



指が、唇が。
私の身体を蹂躙する。


私が声を漏らす度、そう言ってまた新たな快楽を与えてくる山崎は、満足そうに笑う。


はしたない。

恥ずかしい。


そう思うのに身体は自然と悦びに溢れる。


無意識に、更なる悦を求めてしまう。



「ん、ええ子や」




山崎の熱は甘い、媚薬だ。
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