飼い猫と、番犬。【完結】
何度高みを迎えても、山崎は放してくれない。
段々と朧になってゆく意識を繋ぐのは、山崎の声と共に与えられる悦楽。
その強引な快感に、ただ声が漏れた。
「も……むり」
「あかん、まだ」
背に口付ける山崎が内腿をなぞる。
「やっ、待っ……!」
そのまま腿を上る指。
また、頭が揺れる。
昇らされる。
小刻みにしか入ってこない空気にまた視界が白んでゆく。
もう何も考えられなかった。
ただ心も身体も山崎で満たされる。
「奏」
夢か現か。
あいつが呼ぶ。
唇に落ちてくる、柔らかな感触。
もう何も、考えられない。
ただそこにあるのは熱い、山崎の身体。
私を満たす、熱。
「奏」
「……ん」
それは長い、
長い、
あの夜の、こと。