飼い猫と、番犬。【完結】
逢瀬 烝×総
「お疲れさん」
「……お疲れ様、です」
「久し振りやな」
「そ……ですね」
「なんや固いな。折角の再会やねんから何かもっと喋ってぇや」
「……髪、届きました?」
「うん、めちゃ来た、ぎょーさん。びびるくらい」
「びび……」
「勿体無いなぁ、長いん好きやったのに」
「……う」
「嘘、似おとるよ。嬉しかった、おおきにな」
「……本当ですか?」
「ほんまやって。それに自分見目だけはわりかし上玉やさかい、なんでも似合うで」
「……なんかそれ喜んで良いのか悪いのか微妙な気が……」
「なんでや、褒めてんねん。……それよりそーちゃん、副長に惚れ直したんてほんま?」
「ぶっ」
「ちょっ、ばばちいなっ」
「なっ、なんでそれを……っ!?」
「俺を舐めたらあかん。……で、どうなん?」
「……そりゃ、まぁ、少しは……」
「……裏切りもんや……」
「や!でもあれは仕方ないですって!それにあれはやっぱり優しいなーって思っただけで私が好きなのはっ」
「……好きなのは?」
「……」
「好きなのは?」
「……、貴方ですもん」
「ん、よぉ出来ました」
「……ねえ、それを知ってるなら一つ聞きたいんですけど、あの黒猫って……ただの猫でした?」
「どうやと思う?」
「……わからないから聞いてるんです」
「……さあなぁ、俺も知らん」
「……相変わらず胡散臭いですよね貴方……」
「ええやん、真実なんて知らん方が世の中おもろいこともあんねん」
「まあそれはそうかもしれませんけど……」
「それよか俺ずっと待ってんねんけど」
「……何をです」
「わかっとるくせに」
「……言ってくださいよ」
「久々の再会に感動した恋仲が自らちゅーしてくれんの」
「……別に感動なんてしてないですもん」
「ほんま?」
「……そりゃびっくりして……嬉しかったですけど」
「多分それを感動っていうんちゃう?」
「……かもですけど」
「逢いたかったやろ?」
「……はい」
「俺も逢いたかった。せやから早よう」
「……もー今更可愛いこと言わないでくださいよね」
「ええやん、人間素直が一番やったやろ?」
「……はい」
「ほなどうする?」
「……ちゅーします」
「ん、どーぞ」
「……貴方って本当、変わりませんよね」