飼い猫と、番犬。【完結】

それは平助の優しさだと思うけど、ちょっと不自然で逆に分かりやすい。


まぁ正直で裏表のない平助だからこそ、その不器用な優しさが心に沁みて自然と頬が緩んだ。


固まりかけた心がふわりとほどけていくのを感じながら、与えられたその新たな話題に乗っかることにした。



「まぁ良くも悪くも目立ちますよね。平和に巡察出来るのは良いですがただ避けられてるだけというのはなんとも」


新選組の名を賜ってすぐ、近藤さんは妙にはりきって揃いの隊服を作らせた。


そこまでは良いのに、それが浅葱色に白の段だら模様が描かれた代物だから笑えない。


一応意味があるらしいけど、茶色い町にいやに主張する青が歩けばどれ程人の視線を集めるかも、出来れば考えてほしかった。


「そうなんだよねー寒いから一応着てるけどさぁ、なんかちょっと恥ずかしいよねーこれ」

「暖かくなれば別に着なくても良いんじゃないですか?」

「あ、そっか」


こうして暢気に話していられるのも、ある意味この羽織のお陰なのかもしれないけど。


どう贔屓目に見てもこの羽織は他の隊士達にも良い反応を貰えていないから仕方ない。


近藤さんってたまに暴走しちゃうんですよね……。




「ーーっくしゅんっ」
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