きらきら輝かせて恋色に

「頑張った後で説教なんて本当はしたく
ねえんだけどさ…
これは団長としての意見だ。
香澄、自分が何したかわかってんの?」

一応、主役とヒロインってことで
六郎さんとヒロインの湯木香澄さんが
隣同士で座ってる。

湯木さんは、むすっとして黙ったまま。
な、何か言った方がいいよ…。

「脚本がひどいからこんなことになるのよ、あたしのせいじゃないわ」

とたんに空気が凍りついたみたいに
しーんとなった。

「…まあいい。そこで、話がある。
香澄がほっぽり出した千秋楽の穴を
ここにいる吉岡マチ子さんが埋めてくれたのはみんな知ってるよな」

うっ…きた……!

「…どうだった?」

一人、男の人が手を挙げた。
あ、あの人…

「吉岡さん、僕はすごく良かったと思う」

この人、舞台で私にいろいろ説明してくれたお兄さんだ…

「あっ、ありがとうございます!」

私はぺこりとおじきをした。

パチパチパチ…

団員の皆さんが拍手をしてくれた。
六郎さんも、うなずいてる。

「でも正直、俺も香澄と同意見なわけ。
これも団長として言わせてもらうけどさ
なんだよ笹島、あの脚本…。
クソじゃねえの? あんなひでえ話、
俺聞いたことねえよ。
舞台設定も曖昧で主役とヒロインの
出会いもありきたりだし、笑いだって
ほとんど役者まかせのパフォーマンス」

えっ、ええぇ。
何もそこまで言わなくても…。

さっきのお兄さん、笹島っていうんだ。
笹島さんがあの脚本を書いたのかぁ。

あららうつむいちゃってる。

相当ダメージ食らってるよ…。
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