きらきら輝かせて恋色に

夕食のごはんは美味しかったけど、
あんまりのどを通らなかった。

私、本当はここへ来ない方が良かったんじゃないのかな…

でも、夕食前に荷物を取りに行って
お父さんに事情を説明したとき…

「その話ほんまか、マチ子!」
「う、うん。成り行きだけどね」
「成り行きでも何でもええよ!
あぁ、父さん嬉しいよ! 良かったなぁ」

そう言って、お父さん、泣いてた…。

「母さんが父さんを見捨てて、
出て行ったのにマチ子はずーっと、
父さんのそばにいてくれたもんなぁ」

「…だって、ビンボーで家族に見捨てられるとかかわいそうすぎじゃん」

「でもな…ずっと父さん申し訳ないって思ってたんだよ…」
「べつに、そんなことないよ」
「マチ子がお金のことを気にしないで
生活できるなんて、嬉しいよ」

「…どこがゴールなのかわかんないけど
私、頑張ってみる。役者として」

「うん、うん。
有名になって父さんを驚かせてくれよ」
「…その間にお父さんも新しい職、
探しておいてよ」

そうして、私は家を出たんだっけ…。

ううん、だめだだめだ!
こんなことくらいでへこたれちゃ、
だめなんだよ!
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