きらきら輝かせて恋色に
「この前の《キリサメ》は、みんなまとまってなくて最悪の出来だったが、一番悪かったのはこいつ、笹島春樹の書いた脚本だよな」
六郎さんはばっさりと言い捨てた。
団員はみんな苦笑してる。
「コンクールに出すんだからな。
俺はこいつに、去年のコンクールが終わった時点で脚本を書き始めるように言っておいた」
「ひどいよな、みんなそう思うだろ?」
「それがスランプの原因なわけ?」
湯木さんが口を出すと、団員が全員視線を送る。
さっきまでおどけていた空気が緊張でしばられて、一気に重くなる。
たぶん団長の次くらいに、湯木さんは
すごい立場にいるんだろうなぁ…。
「まあね、そんなことを原因にしちゃいけないけど。
《キリサメ》は確かにひどかった。でも今回のは僕自身、すごくいいシナリオだと思ってる。先日やっと団長にもオーケーをもらったよ」
そして、団員ひとりひとりに台本が配られた。
タイトルは、
《子犬のワルツ》ー。