きらきら輝かせて恋色に

顔を上げると、団員のみんなが私を見ていた。
じっと見つめて、その視線のひとつひとつが何か言っているようだった。

『お前なんかが主演をやれるのか』

一番そう思ってる人が多いと思う。

「ちょっと、笹島! どういうつもり!?」

湯木さんが声を張り上げる。

今さっきもらったばかりの台本を、
床に叩きつけて物凄い剣幕で怒っている。

「うるせえな、キャスティングしたのは俺だ。笹島はこの脚本を書くこと以外に
何もしてない」

「あっそう。じゃあ六郎があの子を選んだっていうわけね」

「ああ、そうだ。
このメアリー役には吉岡マチ子以外に考えられなかったから」

湯木さんは怒って出て行ってしまった。

団員の何人かが、それを追いかけようとして、六郎さんに制される。
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