きらきら輝かせて恋色に
春樹さんがおいでおいでと、
手招きしてる。
「これ…どういうことですか…
春樹さん…」
「…いつもヒロインは湯木さんが演じてたんだよ。この劇団の中で一番上手いのは彼女だから。だから僕も、湯木さんに合う役を書いていた。だけどどれもつまらないシナリオばかり。
それで、六郎が言ったんだ。
『湯木香澄にこだわらずに一度、全く新しい脚本を書いてみろよ』って。
それで、ようやく書けたのが、
この《子犬のワルツ》…」
「でも、私なんかがこんな大役…」
「六郎が指名したんだよ、本当に。」
春樹さんは真剣な表情で、
まっすぐに私を見た。
「あの《キリサメ》で、マチ子ちゃんが土壇場で舞台に立って、必死に役を演じてるとき『決まりだな』って一言。言ったんだ。
ああいう人だから、何でも話してくれるとは限らないけど、聞きたいことがあったら聞いてみなよ。
わからないことがあったら、僕も力になるから」