きらきら輝かせて恋色に
「なあ、ひとつの役に、一体どれだけの人間がしがみつくと思う?
去年のコンクールで準優勝になっただけで、俺は10社、香澄は7社の劇団や芸能事務所からオファーが来たんだよ。
優勝となったらもっと来る。
そのくらい今度の舞台はすげえんだ」
「私にはそんなの必要ない…」
「だろうな。だったら辞めちまえ」
六郎さんは首にかけていたタオルを、
私の頭にのせた。
ふわっと、甘い香りがする。
「メアリーがどんな役かわかるか?
両親を亡くし、親戚の家でひどい仕打ちを受けて育つ孤独な少女だ。
…お前は孤独になればなるほどメアリーに近づく。」
そう言い残し、
六郎さんは行ってしまった。
孤独…
私は今、孤独なんだ…