私の決心
やっぱりこんな失敗をした日に、飲まずにいられるわけがない。

私は店に着くなり、知らず知らずに早いピッチで飲み始めた。

かなり私はお酒はイケる方。

これも婚期を遅らせている一因かもしれない。

「あんなミスするなんて、本当に嫌になっちゃいます。」

飲みながら愚痴る私に、武田部長はニッコリ笑う。

「いつもミスをしないから、余計堪えるだけさ。橋本は仕事が出来るんだから、そんなことぐらいでへこむなよ。」

あぁ~、武田部長があんまり優しいから涙が出ちゃいそう。

いつも部下を安心させる言葉と表情は、私も見習わなきゃ。

「結婚も出来ないのに、仕事でも役に立たなかったら、私の存在価値はないです。」

私は頬杖をつきながら、溜息をつく。

「橋本ならいくらでも結婚するチャンスがあっただろう?」

武田部長は痛い所を突いた。

結婚の事を聞かれるのは初めてだ。
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